私は、総合病院の産婦人科病棟に勤務している助産師です。
勤務の傍ら、講演依頼があれば、出産・子育てに関わらず、大人向け、子ども向け、性に関連した話題…様々な講演依頼もできるだけ、お引き受けするようにしています。
先日は小学校のPTA講演会にお招きいただきました。
昨今のネットの普及で、情報が多様化し「性」の知識を身に着けてほしい。
大切なことだけれど家庭で話すとなると、何をどう話したら良いのか困ってしまう…
そんな保護者の皆様が企画し、お声掛けいただきました。
「性教育」と聞いて、皆さんはどんな内容を想像するでしょうか。
日本の性教育は世界的には後進国と言われるほど遅れていて、その一方で世界のポルノの約6割が日本で作られ、性産業先進国と呼ばれています。
多くの大人は「生や性」の教育が大切だと分かっていても、自分達も性教育を受けておらず、正しく必要な情報を伝える術を持ち合わせていません。
ですから保護者の多くは、性教育は学校で教えてほしいと思っていますが、実際の教育現場では必須教科が優先され、その内容も保護者が希望しているものとはかけ離れているのが日本の現状です。
国際水準では、性教育は幼少期からが推奨されています。
性教育が進んでいるオランダでは、小学校高学年で性感染症の対処に関する内容を授業で子ども達が議論したりもするそうです。
いつから始めたらいいかと訊かれることがありますが、小さければ小さいほどいいと思っています。
思春期に入り、自分の身体が変化し始めてからとなると、ハードルがぐっと上がるような気がします。
では就学前は誰がやるの?ということになりますが、主に養育、子どもに関わる大人がしていけば良いと思います。
日本では子どもと一緒に入浴する家庭が多いと思いますが、その時に男女の身体の違いや、月経中のお母さんとの入浴で「女性の身体は毎月いのちのお部屋のお掃除があるよ」と、女性の身体について話すこともできます。
また「自分の身体は自分だけのもの」と意識付けすることも大切です。
特に、水着で隠す部分「プライベートパーツ(口・胸・性器・お尻)は人に見せたり触らせてはいけないよ」「大切なところだから自分できれいに洗う(ケアする)んだよ」と伝えていくことも可能です。
プライベートパーツを見せられたり、触られたりした時には「嫌という・逃げる・(大人に)話す」ということを教えておくことで、防犯や性被害に早く気付くことにもつながります。
子ども達は、自分はどこから来たのかを、性的な意味合いを持たずに素朴な疑問として聞いてきます。
「どう答えよう…」と思っても、狼狽えたり、顔色を変えたりせず、まずは堂々とこう答えてください。
「いい質問だね。なんでそう思ったの?」と。
その後は、ご自分の言葉でお話が出来ればOK。
ただし、絶対に嘘やごまかしのお話はしないことが大切です。
そしてその後に、「あなたが生まれてきてくれて嬉しかった!」という気持ちを、言葉で伝えてください。
子どもの自尊感情がぐっと上がります!!
言葉で伝えるのが難しかったら、絵本や年齢にあった本を使うこともおススメです。
わかりやすく上手に、素敵に書いてある絵本が沢山あります。
性教育は自分の身体を大切にすることから、他者の心を大切にすることまで、性別や年齢に関係なく必要な知識、いわばライフスキル教育、人権教育でもあります。
ハードルを下げて、家庭でもできる性のお話を、よりたくさんの大人に知ってもらいたいなと願っています。
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